初めての渡道は1974年9月のこと。上野から急行列車を乗り継ぎ青森に着いたのは前夜21時ころ。夜半の連絡船に乗り未明に函館に着くつもりでいたら、所謂ゴールデンルートのその便は混雑が予想されるので臨時便に乗れとのことだった。
そんな訳で函館の地を踏んだのは、夜中1時半。何もすることが出来ず、連絡船待合室で明るくなるのを待った。潮の香と魚の匂いの入り混じった空気、だっだ広い待合室のベンチ、煌々と灯る蛍光灯、自分同様に所在なさげな乗客がちらりほらり。
初めての北海道・函館の印象はこんなもので始まった。
駅前でスナップした市電の写真をめくってみると、812号があった。背後の歩道がアーケードになっていることも時代を感じさせます。
ほんの少し場所を移したカット。渋い塗装の525号と当時あったガス会社方面行きの線路が見えており、敷石が綺麗に並んでいます。
当時は全ての車両がこの2種類の塗装だったと思うが、今はお宝の2両のみが当時を偲ばせているのである。その内の1両812号には46年前にも会っていたことが判り、感慨深いと同時にあの日の函館駅の印象が蘇って来ました。
(1974/9/7 撮影)