相鉄線での7000系撮影会の帰り道、時間もあるので「かしわ台」で下車しました。駅前の道路橋からは広々とした車両センターが見渡せ、幾筋もの留置線一杯に車両が休んでいるのが見えます。中には今秋から相互直通運転することとなる、埼京線用233系の姿も見えました。
道路橋を渡り終えるあたりの眼下に、古い客車と小型蒸機の保存車両が見えます。見覚えのある客車は兵庫県の別府鉄道から里帰りした、思い出深いあの車両です。
車両センター構内での保存なので、見学が出来るのかどうか恐る恐る守衛さんに聞いてみると、「どうぞ、どうぞ」と快く許可してくださり、客車内も見て行ってくださいとの事、感激です。
ステップを上がり、デッキの扉を開けると、そこには若い頃の記憶がそのまま残っていました。心なしか車内に漂う香と言うか匂いも、あの日のままのように感じます。
(1976/3/3)
窓も、シート袖も、木製の背摺りも、手動ブレーキも、壁板も、何もかもがあの日のままであることが分かります。
別府港から土山行の列車の乗客は自分一人、「普段は、ほとんどお客は居ない・・・。」と車掌氏が言っていたような記憶があります。ヨレヨレのシートに腰を掛けていると、2軸でのジョイントの振動が「ガツン、ガツン」とお尻に響きます。でもそれが、あたかも貨物列車の車掌車に同乗させてもらったような気分で、心躍る時間の経過でした。
(1976/3/3 別府港)
気動車は野口行き、土山行は?と駅員氏に聞くと「その客車。ホームからじゃないけど、気を付けて自分で上がって。」と言われ、「えっ、ホントに?!」と思ったものでした。
数両の貨車との混合列車の記憶は、43年後の今もはっきりと残っています。 (2019/10/14 記)