姫新線を西へ西へと進む。中国勝山までは長閑な盆地の風景が続いていたが、そこを発車するとたちどころに山間に突入し、制限25Kの厳しい線形をうねうねと進む。まるで因美線の県境越えに似たりと言ったところか。ようやく周囲が開けて地勢が変わったことを実感していると岩山駅に到着した。姫新線の終点である新見のひとつ手前だ。
目に映るのは「木材」だけ、無粋な白いサッシ枠など無い純然たる「木造駅舎」と言えようか。
玄関の軒下には見事な駅名標。こういう所への拘りは、どのようにして実現出来るのかと思う。
簡素な鉄製ラッチの向こうには、石積みの対向ホームが見える。ホーム上には地域の方々により桜が植えられており、開花の時期には目を楽しませてくれそうな様子だった。
ひとつだけ残念だったのは出札窓口などが一枚板で塞がれていたこと。待合室で列車を待つにしても、数枚のポスターが張られた壁一枚を眺めるしかないのでホームで待つことにする。このラッチのゲート、果たして錆びついているのかと触ってみると、しっかり開閉出来ることに安堵してこの旅を終えることにした。
(2023/3/13)