オレが若かった頃、片道1100km往復2200kmを連日往復していたものさ、厳しい仕事だったが、オレも輝いていたし周囲も一目置いてくれていたと思う。
そんな厳しい仕事から卒業し、今では老体をいたわってくれるような仕事をコツコツとこなしている。きょうはオレが若く輝いていた頃の懐かしのステージ(東京駅)に立たせてくれるという、嬉しい仕事が舞い込んできたのだった。
ステージが近づくにつれて、若かりし頃の思い出が走馬灯のように蘇ってきた。いい歳をして嬉々としてステージ立ってみた。
でも何かが違う、周囲の街並みも、ステージを擁する劇場の佇まいも、共演した役者たちも様変わりしている。観客にしてもオレが輝いていた頃にはまだ小さなこどもだったり、まだ生まれていなかったような人たちが大部分だ。
「昔はね」「オレはね」と語っても誰も耳を傾けてはくれない。ひっそりと自分の心の中にだけ、昔の自分を映してこれからは生きて行こうと思う。
東京駅の文字を背景に佇むロクゴ501号機を眺めながら、ひょっとしたら、今の自分の姿を映しているのではないかとさえ思えてきたのでした。
(2014/6/15)