【1977/3/19】
この日で尾小屋鉄道が廃止となる。しかしながら前日のあの喧噪を目の当たりにし、きょう出かけても同じような写真しか撮れないだろうと、少し気が引けたので福井周辺の私鉄を見て回ることにした。というか、その同じ横浜の区内から来た方からの誘いでもあった。
まずは京福電鉄の福井口に向かうと、車庫に居るあの有名な黒い機関車にも会うことが出来た。
車庫を訪問していきなり会えたのが嬉しかった。
賑わう構内踏切。風呂敷包みに当時の様子を思う。
沿線でも撮影してみようと少し先の越前新保で降りてみた。駅で貨物列車の有無と通過時刻を訊いた。少し開けた線路端に立ってみたが一面の靄が立ち込めていて、真っ白。そもそもあたり一面雪が積もっており、そこへの雨の湿気なのか気温のせいなのか、その雪面から靄が立っているのだった。そんな様子を初めて目にした。
写真としてはダメカットだけれども、記憶に残る真っ白の靄の世界。
やがてやって来た貨物列車は、靄の先から現れて靄の向こうに消えて行った。これはこれで記録だけれども、晴れカットでも残しておきたかった凸型電機だった。